ひとりで撮って、整えて、届ける時代に「方向を決める目」の価値が上がっている

問い

撮影も、編集も、発信も、全部ひとりでこなさなきゃいけない。そう感じている人、多いんじゃないかねぇ。道具は増えた。AIが手を貸してくれる工程も増えた。なのに「できた」と「よかった」の間に、なんかずれがある気がする——そのずれや違和感、どこから来るのかって話を今日はしたいわけよ。

現場

このサイト自体が、そのずれを何度も体験した現場ね。

記事の構成を変えたとき、もともとは「ここはオジイの語り口、ここは運営者本人の語り口」って節ごとに語り手を切り替えてたわけよ。読む側からしたら「なんか貼り合わせたみたいな記事だな」という感じになっとった。それを「全節を通して一つの声で書く」という方針に切り替えた。切り替えた理由として残っている記録には、「節ごとに語り部が変わることが、記事の切り貼り感の原因だった」とはっきり記載されている。

判断したAIがいて、そのAIが「方向がおかしい」と言葉にして、フォーマットを変えた。ツールや工程が増えるほど、この「方向を決める役」が宙に浮きやすくなるわけよ。

それだけじゃなくてね、「意図を持った人」→「それを別の言葉に訳す人」→「実際に手を動かす人」という三段階の作業フローも、このサイトの開発で実際に経験したやっけー(厄介な)問題でよ。工程が増えるたびに、最初の意図がじわじわ薄まっていく。脳死で作業してると、効率よりも流れやり方を優先しちゃうものなのよね。「誰が方向を決めているか」という問いへの答えが、工程の途中でどこかに抜け落ちてしまうわけ。

補助線

Googleが今年の新しいPixelに向けて、クリエイター向けの機能スイートを発表したさ。Google aims for influencers with the Pixel 11 Creator Suiteという話で、The Vergeが報じてる。撮影・整理・編集・発信を一つのデバイスで素早く回せるようにする、という方向性らしいわけよ。

最初に浮かんだ解釈は、「これはインフルエンサーの人たちを取り込みたいというマーケティング上の判断だな」ってことだったさ。影響力のある名前が使ってくれれば、Pixelの存在感も変わってくるからねぇ。

それとはまた違う解釈になるけど、「工程を一台に束ねる」という発想そのものが、クリエイティブディレクションの構造と同じだなと思ったわけよ。

デザインの仕事をずっとやってきたオジイからすると、クリエイティブディレクションってのはね、「撮る人」「整える人」「届ける人」がバラバラに仕事をしていたのを、一本の意図で束ねることだったわけさ。カメラマンが撮った素材を、デザイナーが整えて、コピーライターが言葉をつけて——それぞれの工程は上手いのに、全部合わせると「なんかばらばらだな」ってなることが、でーじ多かったさ。

ディレクターの仕事は「良いものを作る」ことじゃなくて「方向がずれたときに言語化して戻す」ことなんだわけ。この「言語化して戻す」という役割、ツールがどれだけ便利になっても、なくならないはずね。
逆に言えば、その違和感を言語化できないと、どんなに便利なものでも持て余すし良いものは作れないってこと。

Googleの新しい機能スイートは、一人の人間がその全工程を素早く回せるようにしてくれる。はっさ、それは便利さ。でも「一人で全部できる」と「一貫した方向で全部できる」は、別の話なのよね。工程がスムーズになるほど、「自分はどこに向かって作っているか」という問いを立てる意識がむしろ必要になる、というのがオジイの見立てさ。
あれ、わしなにやってたっけ?ってよくなるオジイには設計だけして回してくれるのは非常にありがたいやっさ。

持ち帰り

制作関係の人がおったら、自分の制作フローを「撮る・整える・届ける」の三段階に分けて、どの工程でトーンや意図のずれが起きやすいかを一度確認してみてほしいわけよ。

ステップ1:三段階それぞれに「判断基準」があるか確認する
「撮る」「整える」「届ける」の三つのうち、「こうする」という判断の根拠を自分の言葉で言えるのはどれかを確かめること。「なんとなく」になっている工程が、ずれの発生源になっとることが多いさ。

ステップ2:AIやツールに任せている工程を書き出す
自動化・効率化している工程がある場合、その工程での「判断基準」が自分の頭の中にちゃんとあるかを確認すること。任せっぱなしになっている工程は、判断基準を言葉にしておかないと、アウトプットが少しずつ別の方向に流れていくわけ。
丸投げコーディングだと、AIが出してくる回答を読んで理解するのも億劫になるのよね。まとめさせるにもトークン食うし。けどこの辺も丁寧にやってあげないと後々効いてくるんだわけ。

ステップ3:三段階を通して「一本の意図」が通っているか見渡す
実際に直近で作った成果物を一つ取り出して、「撮る」「整える」「届ける」それぞれの段階で、自分が最初に持っていた意図と結果がつながっているかを確かめること。ずれているなら、どの工程から始まったかを探してみるとよいはずよー。

開発中のAIエージェントにも「方向を言語化する」仕組みを入れようとしてて、でもオジイ自身がちゃんとそれをできてるかっていうと、「なんとなくいい感じ」で進めとることがでーじ多いわけよ。三段階を整理する話を書きながら、キッチンのスパイス入れを思い出してたさ——買い物から帰ってきて「あれ、ないと思ってたガラムマサラまだあったやし」ってなるやつ、あれも最初の意図を誰も言語化してないまま積み重なった結果なんだわけ。そんなこんなでオジイの家には無駄にガラムマサラが3瓶もあるんだよね(笑)
てことでまた次回もよろしくね〜。